裁判員裁判11−9
「名古屋地裁裁判員裁判傍聴記」2010. 12.28
                 2010年8月〜10月  宮道佳男
9、刑事3部 誤想過剰防衛が認められるという快挙
 20歳の被告人、少年グループ内のもめ事から、追われる身となり、見つかったら暴行されると恐怖感、グループの親玉の中年男性が、運転中の被告人を発見し、おいこらと叫んで、開いている運転席窓枠にしがみついたら、被告人は発進し、引きづって振り落とし右腕切断の重傷を負わせた。
 被害者証人尋問では、説教する積もりだったと証言、確かにそれ以上の動機がない。初日出廷を拒否していた少年が拘引命令を受け、最後は自主的に出廷、弁護人がもめ事について詳細に尋問した。ここはお見事であった。
 被害者は、おいこらと説教するつもりで窓枠にしがみついた。
 被告人は殴られると思った。
 この違いを誤想過剰防衛にまで持ち込んだのがお手柄、よく、裁判員が誤想過剰防衛の法概念を理解できたと感心します。裁判官の説示がよかったのでしょう。
 求刑10年、判決6年

 裁判員裁判時代、裁判官は弁明せず、では通じないのです。裁判員に説明しなければならないのです。裁判員に守秘義務を強いても、人の声に戸を建てることは難し。裁判官も説明責任を負うことになったのです。裁判員の守秘義務はいずれアメリカ並になるでしょう。
 法廷は、人民大衆に責任を負う、法曹三者の学問の研鑽の場なのです。仲良し法曹三者ではいけません。証拠をいじくったり、弁護士を辱める為に異議を言ったり、垂れている頭を踏んづける検察官もいけません。釈明義務を尽くさない裁判官もいけません。論争しない弁護士も許されません。
 相互批判による、新しい裁判員裁判時代の法曹三者の倫理観を確立したいのです。人民大衆の裁判観と遊離してはいけません。その事件に興奮している人々は感情的になりがちですが、普通の人民は賢いのです。成田空港薬物密輸事件、鹿児島夫婦殺人事件で無罪が出ました。裁判員は証拠をよく検討され、疑わしきは罰せずの原則を理解していたのです。敬意を表します。
 アメリカ陪審制では、人種問題が深刻です。陪審員に白人黒人の比率の公平性が考慮されています。
 日本にも、民族問題があります。皆さんは単一民族国家と思っておられるが、私は違います。日本には、ヤマト系日本人とコリア系日本人がいます。裁判員の呼び出し状は全員に届くのです。
 在日コリア人の裁判員裁判があったとき、ヤマト系日本人ばかり裁判員になると「激情型民族だから人殺しもやりかねない」との偏見に支配されるかも知れません。民族蔑視型感情裁判です。ですから、コリア系日本人は、在日コリア人を被告人とする裁判の呼び出し状が来たら、率先裁判員に応募して同胞を偏見から救済すべきです。  
 いよいよ、今年もお終いです。
 北朝鮮の挑発が苦になります。戦争の年にならないか、心配です。何故、在日朝鮮人の中で、反戦・金政権打倒運動が起きないのか、不思議です。
 在日外国人の地方参政権獲得運動がありますが、唱えている人たちが偏っていることが気がかりです。本当に在日外国人が参政権を望んでいるのならば、東京で何十万人のデモをやって見せてください。そのデモを見ない限り、私は賛成できません。
 景気回復もままならんし、政界は旧態依然、民主党と言っても、元は自民党からの流れ者ばかり、政権交代なんかしていません。
 経済人は、政治を一切頼りにせずに、産業振興に専念してください。経済人だけが頼りです。
 では、稲垣智彦、岸本博道ともども、来年も宜しくお願い申し上げます。 
 2010/12/28