| 時事評論 6 |
| 「 死刑囚と老兵は原発へ 」2011.06.23 |
鉄腕アトムのようなロボットを開発しないうちに原発を稼働させたのが間違いであった。はずれた配管を締め直すには人間の手しかない。 死刑囚の悲しみはどんなに悔い改めても無視されることである。 外部との連絡は遮断され、悔い改めた心境を示すことも出来ない。どんな極悪人でも改心するが、改心する甲斐を拒絶されている。 独ソ戦のとき、ソ連は兵隊不足を補うために囚人部隊を組織した。手柄を立てれば釈放すると宣撫した。元々悪人揃いだから逃亡の恐れがあり、囚人部隊の後方には督戦隊が控え、逃亡する囚人兵を射殺した。督戦隊の隊長は大尉とか少佐クラスなのだが、共産党から派遣された政治委員がいた。政治委員の役割は兵士に共産主義思想を宣伝することと、隊長の反乱を見張ることであった。軍隊の反乱を組織してツアーリを打倒したレーニンやスターリンは軍隊の武力を怖れていた。軍隊が共産党の指導から離反しないよう政治委員を送り込み監視したのである。政治委員は隊長より偉かった。政治委員が隊長に反ソ言動有りと報告すれば、その隊長の命運はなかった。独ソ戦直前の1930年代粛清で高級将校は9割方粛清された。 後方から追い立てられた囚人兵は突撃した。前からも後ろからも銃弾 精神は凶暴化した。ベルリン陥落から5日間、掠奪強姦は自由放任となり、ベルリンは恐怖都市となった。その後満州に向かった囚人部隊は同じ事をした。 80歳以上で、疾走できる志願兵を募り、志願する死刑囚と共に原発に投入したらどうか。太平洋戦争で少年兵であった人々である。この国難を託するには戦争経験者しかいない。 200ミリシーベルトまで突撃して貰い、完遂したら懲役15年に二階級特進させる。昭和50年代から、取調官の口癖は「てんちゃんはもうすぐ死ぬから恩赦がある。だから否認するのはやめて刑を確定させて恩赦の恩典に浴せ。確定していないと恩赦の対象から外れる」であった。取調官のこんな話があり、真に受けた被告人が否認せずに刑に服し恩赦を期待した。しかし天皇は長寿であったので、期待に反して満期出所してから平成の世になった。昔は恩赦が多かった。恩赦に刑政の効果を持たせた。死刑でも無期に落とす恩赦があったが、最近は全くない。裁判も恩赦も刑政の為にあるはずだが。 オウム真理教の死刑囚には理科工学に通じた者がいる。あのはずれた配管を締めてこいと命じたとき、能力を発揮するであろう。破壊活動をしないかと心配する向きもあるだろうが、督戦隊と政治委員が控えればいい。 チェルノブイリには消防士達の群像があり、危険を承知して突撃した決死隊員を顕彰している。独ソ戦の時、闘ったソ連兵は勇敢であった。一歩も引かず、いや、引けば戦線逃亡罪で処刑された。ソ連各地にある大祖国戦争勝利の戦士の群像は消防士達の群像に似ている。 原発事故は戦争にも似た国難である。非常時の手段を講ずるしかない。 |