いじめ自殺防止 20061115 
学校でのいじめによる自殺が多発し社会問題になっている。いじめは今日始まったのではなく、昔からある。野口英世は火傷により片手が丸まっていたが、悪餓鬼どもからてんぼうと悪罵されていた。身体的欠陥を悪罵するのは、よくあるやり方であるが陰湿である。野口英世は偉かったからいじめを自己克服することができたが、できなかった者は陰惨な少年時代を過ごさざるを得ず、心に深い傷と憎しみを残すこととなる。
 最近のいじめの事例をみると、教師の無力化を感ずる。教師がいじめに対して適切な指導ができていない。いじめ問題が発生してマスコミが殺到すると、自殺する教師が出てくるのである。マスコミのいじめに対する反抗か、逃避か。いじめ位で自殺してはいけないと生徒に教育すべき立場の教師がマスコミの殺到の中で自殺してしまうのである。もっともマスコミの取材方法には人の感情を逆なでにしたり傷つけたりする傍若無人のところがあり、マスコミにも問題は多い。
 いじめ防止で教師が頼りにならない現況だから、別途方策を考える必要がある。
 学級委員はどうなっているのか。クラスには生徒の選挙による学級委員がいるはずである。私の記憶によると、大体学級委員は教師からも生徒からも信頼される子が選ばれており、これが模範的リーダーとなり、いじめを見つければ止めに入ったものである。いじめの悪餓鬼どもは教師から注意されると教師に密告したろうと更にいじめをエスカレートさせるものであるが、学級委員から注意されれば、それは生徒同士の問題と納得し、教師から注意されるのと比べて大人しくするのである。
 昔は、学級委員とか生徒会の活動が活発であったと記憶するが、今日はどうなったのであろうか。生徒会でいじめ防止活動をしているのであろうか。
 私は弁護士で紛争解決を専門にしていますが、紛争解決の定番として、当事者解決主義があります。まず当事者だけで解決させるよう努力させ、第三者の介入は避けることです。当事者による自主的解決が不可能となったときに始めて、次善の策として第三者を呼ぶ訳です。
 生徒のいじめに教師が最初から出てくると当事者解決主義に合わないのです。生徒にいじめ防止をさせるにはどうしたら良いか。紛争解決にはそのノウハウがありますが、誰も始めから知っている訳ではなく、経験から得ていくものです。学級委員がいじめを発見しても、同じ年の子ですから、何をしたら良いのか分からず、暴力に走ることもあります。学級委員が喧嘩に強ければこれでいいのですが、喧嘩に負ければ、今後その子がいじめの標的になってしまいます。
 いじめ防止のノウハウを学級委員に伝授する必要があります。それは生徒会活動の中で、学級委員を集めて教師・いじめ教育専門家が伝授することです。人間理論武装すれば真価を発揮できます。学級委員がバッチを付けて保安官のように学校内を回っていじめ防止に活躍するのです。

 もうひとつ、学校委員制度の新設を提案したい。
 教育委員会には教員委員がおりますが、それとは別に学校単位で学校委員を選任します。生徒5人に1人位を選任します。40人学級ならば8人を選任します。この学校委員が常時学校に出入りしていじめの監視をします。いじめの悪餓鬼どもは教師の目を隠れて体育館の裏とかでいじめをしているのが常です。学校委員を多数配置して監視しておけばよい。
 学校委員は団塊の世代の60歳代のおじさんおばさんを選任する。いじめを見つけたら、おじさんおばさんが何をやっとるのか、仲良くせんといかん、と世話焼きに出るのです。この世代はも受験戦争と子育てを体験し、昭和の経済成長の時代に活躍したのですが、今や定年過ぎて暇で困っています。孫の年の生徒相手には相応しい。学校内にとどまらず、学区の盛り場・遊園地等の生徒の行きそうな場所にも学校委員のバッチを付けて警察署の少年係と連携して出動して貰えば、非行防止にも役立ちます。
 金がかかると言う批判もありますが、一人月額一万円の費用支給で十分です。どうせ学校へは歩いたり自転車で来るのですからガソリン代を支給する必要もありません。民生委員とか保護司とか民間人で公益奉仕をされる方がいますが、それらと同じような趣旨で学校委員制度を新設して、暇なおじさんおばさんに一肌脱いでいただくことは有益と思います。
 更に学校委員には教育の質の向上について提言の役割をお願いします。最近教師の質の低下が深刻です。昔から教師はインテリとして尊敬されていましたが、人材不足により、本当はなってはいけない人まで教師になっています。また性格的に教師に向かない人まで教師になっており、悪餓鬼どもにいじめられて自殺する教師もいます。うつ病精神分裂病に罹患する教師も多い。民間会社では役に立たない労働嫌悪症・自閉症タイプの人が公務員になったり、特に勤務の楽な教師を選んで無駄飯を食っていることがあります。
 学校委員は教師を観察し、教師としての資質に欠けると判断できる場合には、教員委員会に対してその教師の任用の可否について提言する権限を与えるべきです。そのためには学校委員会を作り、学校委員の研修も必要となりますが、団塊の世代のおじさんおばさんは昭和の高度経済成長を成し遂げたように立派にその役割を果たしてくれます。