裁判員裁判12−101
「自白調書の読み方」2014.1.28
                 2011年1月〜  宮道佳男
 33、作文
 弁護人は自白調書は取調官の作文と主張しますが、公判では検察官が強硬に反対し、刑事裁判官は、取調官の体面を苦慮し、なかなか作文という表現を回避しようとします。しかし、民事裁判官は、松川国家賠償1審判決のように明快に断言します。「検察官の主張する自白は・・そのときどきの証拠の状態によって動いていた捜査官の想定にもとづく強制誘導と、これに対する自白者の迎合によって作り出された虚偽架空の作文なのである。7626万円の損害賠償判決」
 刑事裁判官は検察官と同僚との意識があり、無実の者を救うことより、有罪の者を逃してはならないと考え、原告の検察官と被告の弁護人とを対等の当事者とは見ません。民事裁判官は原告と被告との間の公平な裁定者です。一方が検察官であっても、当事者主義の観点から事件を見ます。刑事裁判官がなかなか書かない「自白調書は作文」を民事裁判官は書くのです。