裁判員裁判12−15
「自白調書の読み方」2011. 5. 17
                 2011年1月〜  宮道佳男

 封建時代、民に知らしむべからず、とありましたが、それと同じです。
 明暦の振袖火事、大岡越前守は、放火した娘を御白洲で取調したとき、余りに若いのに驚き、「御定書によれば、火付けは死罪であるが、14歳未満 ならば、罪一等を減じ、死罪を遠島にすると定められている。よって問う。歳はいくつか」
 娘は「あい、14歳になりましてございます」と返事し、絶句した越前守は三度問うたが、同じ答が三度続き、諦めて死罪にしました。この話は、歴史的事実ではありませんが、芝居、浄瑠璃となり、江戸庶民の喝采を浴びました。江戸庶民の願い「法を教えてから裁いてくれ」の共感を得たからです。

F法を教えて脅迫する。
 犯人隠避罪とか証拠隠滅罪があります。しかし、家族がしても家族愛からして同情できることが多いので、家族は免責されています。
 孔子曰く「父は子の為に隠し、子は父のために隠す。直きこと、その中にあり」
 しかし、日石・土田邸爆破事件で適用された、爆発物取締罰則では、告知義務違反が家族にも適用されることから、取調官は容疑者に「爆発物の所在を知っていたのに告知申告しなかった罪で、家族を逮捕する」と脅かしました。六法全書まで見せて。
 これに負けた被告人9人はウソ自白したのです。この事件11人の被告人の内、否認を貫いたのは、2人の女性だけでした。女の方が強いのです。