裁判員裁判12−18
「自白調書の読み方」2011. 6. 7
                 2011年1月〜  宮道佳男

 弁護人の悩み
 弁護人は、任意性なし、自白調書不同意と言うとき、悩みます。もしも一審でこの主張が通り、高裁で逆転したとき、差し戻しとなるのです。一審で自白調書の朗読からやり直しとなり、裁判は長期化します。弁護人は裁判を迅速化させ被告人の負担を軽減させたいと願うと、任意性も信用性も所詮は同じ事、任意性を認めて、自白調書の取調朗読を済ませ、信用性で勝負を打ちたいと思います。任意性を否定した判決がさほど多くはないことも気になります。
 拷問はないが、強制はあった、脅迫はないが、大声はあった、という程度で、任意性を争うべきかと迷います。
 私は、迷ったときは原則論、と言い聞かせています。裁判は長期化します。被告人に職業が被告人業になったと思え、と言い聞かせます。被告人が同意しなければ辞任するしかありません。国選はこの点が気楽です。
 難事件は、信用性に過ぎないのかなと思いつつも、必ず任意性を争い、長期戦を覚悟します。これにより取調官の尋問が可能となり、分からなかった新論点の発見が出来ます。難事件は、ダメ元でも、任意性を争え。その代わり、長期戦覚悟です。