裁判員裁判12−22
「自白調書の読み方」2011. 8. 8
                 2011年1月〜  宮道佳男
第4、自白調書の読み方

 自白調書をいかなる観点から読むべきか。
「実務の経験が教えるところによると、捜査の段階にせよ、公判の段階にせよ、被疑者もしくは被告人は常に必ずしも完全な自白をするとは限らないということで、このことはむしろ永遠の真理といっても過言ではない。被疑者または被告人に事実のすべてにわたって真実を語らせることがいかに困難な業であり、人は真実を語るがごとくみえる場合にも、意識的にせよ無意識的にせよ、自分に有利な事実を潤色したり、意識的に虚偽を混ぜ合わせたり、自分に不都合なことは知らないと言って供述を回避したり、まあまあの供述をするものであることを、常に念頭に置いて供述を評価しなければならない」
狭山事件2審寺尾判決 脅迫状の訂正にはボールペンを使ったとの自白調書、公判の鑑定で万年筆・ペンと判明した。ならば、自白調書に嘘があることになるが、寺尾判決は、被告人が犯人だとすれば、ここは嘘を言っているが嘘はここだけ、殺人自体の自白は信用できるとした。死刑だけは免れたい一心から自分に不利益な部分は伏せ、不都合な点は潤色して供述したと言うが、ならば被告人が1審を通じて「やりました」と言い続けてきたことを何と評価するのか。
「自ら極刑になることが予想される重大事件で、あえて嘘の自白をするとは考えられない」
名張事件再審2006年名古屋高裁の異議審
「有利な方向へ嘘を付く。不利な方向への自白は真実」は、永遠の真理 ではない。