裁判員裁判12−41
「自白調書の読み方」2012.4.4
                 2011年1月〜  宮道佳男

変遷の理由について、捜査官に説明義務がある。
 自白の変遷・訂正があったとき、有能な取調官は必ず自白調書にその訂正の理由を書いておきます。書かないと裁判所から不審の目で見られます。「何故変遷したのか、その理由は調書上さだかでなく」と書かれます。
 訂正や変遷があったとき、一番驚くのは担当の取調官です。当然「何故だ」と言うはずです。その問答が自白調書に記載されないということは、取調官は困ってしまい、ほっかむりしたということになります。
 言い訳を書いた位では裁判所は許してくれません。
 東京高裁昭和58年7月13日破棄無罪 判例時報1085-30
「自白は記憶違いするはずのない重要な事項について変更があり、その変更について納得できる理由は示されていない。検察官自白調書に、隠して嘘を言ったのは、その時被害者の顔やその時の状況がまだ目の底に焼きついていて自分ながら本当に怖ろしいことをしてしまったという気持ちで自分自身が怖ろしくて本当のことを言い出せなかったのです。ところが隠し事をしていて申し訳ないという気持ちになり本当のことを今日申し上げる気になったのです、というが、到底首肯できるものではない」