裁判員裁判12−49
「自白調書の読み方」2012.8.1
                 2011年1月〜  宮道佳男

自白調書の丸写し
1986年選挙供応122人無罪事件
 巡査部長が証人尋問に呼ばれ、彼が取った二人分の自白調書が論議の対象となりました。
 ある被告人の自白調書
「切々と支持を訴え、最後に深々と頭を下げて、皆様の力で勝たせて下さい。お願いしますと挨拶が行われ、その話の内容といい、顔つきは何が何でも当選させて欲しい。私に一票を投じて欲しい、又一票の取りまとめをして欲しいという気持ちを全面に出され文字通り必死の訴えでありました。
 このような京極氏候補の訴えに、感動した我々の会員の数人が、しっかり、頑張れ、応援したるでの声と大きな拍手があり一時興奮冷めやらずの雰囲気が続きました」
 別の被告人の自白調書
「切々と支持を訴え続け、最後に深々と頭を下げて、皆様の力で勝たせて下さい。お願いしますと挨拶が行われ、その挨拶の内容といい、顔の表情は、何が何でも当選させて欲しい。つまり私達に対し、一票を投じて欲しい、又一票の取りまとめをして欲しいという気持ちを全面に出され、文字通り必死の訴えでありました。
 このような京極氏候補の支持の訴えに、感動した我々の後援会の数人が、 しっかりやれ、応援したるでの声と大きな拍手があり一時興奮冷めやらずの雰囲気が続きました」
「ここまで似ていると、参考にして作ったとしか考えようがない」と裁判官が尋問しても、証人は「いや参考にはしていませんけれども」と証言していた。
 文才あり、かつ早く帰宅したい取調官の陥った落とし穴なのです。 
 これは手書きの調書時代の話でしたが、パソコン時代となり、文章の転記が容易になった今、手抜きの取調官が多用すると思われます。供述調書を熟視し、既視感がないか読みなさい。