裁判員裁判12−56
「自白調書の読み方」2013.2.6
                 2011年1月〜  宮道佳男
9、多義的解釈を要する事柄、自白調書の尾ひれに要注意

 容疑者が死にたいと漏らしたとの自白調書は危険である。冤罪の嫌疑を掛けられたから死にたいのか、真犯人だから死にたいのか、分からないが、裁判員は後者に理解しがちである。
 米谷事件 検察官が強調
 護送途中、被告人が刑務所近くで「俺もこれでお終いか」と呟いた。

検察官のこのような使い方には、即刻異議を申立てるべきです。
「多義的解釈を必要とする、罪体に無関係な事柄であり、裁判員を誤解に導こうと意図している」
 検察官が被告人の前科を強調する場合も同じです。

 1970年大森勧銀事件 
 事件後、被告人は友人に「勧銀事件は俺がやった」と告白
 最高裁判決「被告人が被害者遺族に謝罪の手紙を出したり、友人家族に犯行を認める言動をしているが、注意を引く必要性があったこと、被告人の性格からして安易軽率になされたものとみる余地もないではなく、疲労困憊し精神的に混乱した状態で深い思慮無く答えたものとみることができない訳ではない。多義的な解釈を容れる余地がある」
一審判決は、これらのことを、自白が信用できる根拠としていたのです。

 一方、有罪意識の欠如を無罪の理由とすることがある。重大な罪を犯したならば、少年の生活態度に顕著な変化があると思われるのに、そのような後は一切見られない。