裁判員裁判12−57
「自白調書の読み方」2013.2.15
                 2011年1月〜  宮道佳男
10、証拠の紛失・廃棄

 法廷で、検察官が証拠が紛失したと言うことがあります。特に要注意です。警察が落とし物をすることはありません。意図的とか訳が必ずあるのです。弁護人は法廷で叫ばなくてはなりません。何故だ

 前記の1948年幸浦事件 死体を埋めたという松林の図面が紛失したという話を思い出してください。

 弥富父親強盗殺人事件 息子の被告人が野田公園で父親強盗を思い立ち、自宅へ帰り道、途中の公園で座り込み、強盗殺人計画を練り上げたことになっていた。取調で被告人はこの途中の公園の経路図と、トイレと屋根付きベンチとテーブルの配置図を書いた。現場引当したとき、被告人が案内したが、そんな公園は発見できない。それらしい公園があったが、経路図から見ると、方角が南と西の違いがある。トイレと屋根付きベンチとテーブルもない。取調官は被告人に「どうなっとる」と怒ると、被告人は「ここです。間違い有りません」と答え、取調官は被告人の記憶違いで済ませてしまった。
 弁護人が法廷で、犯行計画の場所である途中の公園がないじゃないか、と言いだし、図面の提出を求めたら、検察官は「供述調書を作成したとき、図面は廃棄した」と言うのです。
 弁護人が、自白の変遷を証明するために、取調メモの提出を求めたときも、検察官は「供述調書を作成したとき廃棄した」と返答しています。
 弁護人はこれは絶対におかしい、検察官警察官による証拠隠滅と、弁論しました。被告人は途中で否認に転じ、叱られるや又自白に戻ったという経過があったのです。
 昔は日報のように自白調書を取りました。しかし、自白が変遷している内は自白調書を取らない作戦に変えました。しかし、取調官は取調メモを書いて、しっかり自白の変遷を記録し「ああ言っとたじゃないか。今の話と食い違う」と攻撃の切り口に使っています。取調官の作戦変更に対して、弁護人は取調メモの開示請求という作戦を取るべきです。