裁判員裁判12−66
「自白調書の読み方」2013.4.17
                 2011年1月〜  宮道佳男
15、下品で無能な取調官

以下に紹介する事件は選挙違反です。たまたま後援会に呼ばれた市井の人々がタダ飯を食べたり、5000円入りの封筒を貰ったりして、警察に呼び出されるのですが、人殺しや泥棒ではありません。しかし、取調官は手を抜きません。市井の人に対する取調がこの程度であることから、人殺しや泥棒に対する取調がいかに過酷であるか、想像してください。
 
1986年選挙供応122人無罪事件 大阪地裁
検察官の取調での落選参議院候補者への発言
「実につまらん事件である。早いとここの事件を片付けたいので一つ協力してもらいたい。我々東京から来ている5人の検事は、無性に血が騒ぐんだ。徹底的にたたき出そうという話をしとる。特捜検事と懇意にならんか。」
「お前が否認したら、130人の人をもういっぺん引っ張り出して調べ直さないかん」

警察官の取調
 壁の方を向かせて両手を上げさせ、わしは悪いことをした、堪忍してや、と大きな声で5、6回言わされました。
 国家権力に反抗するのんか。うそばっかり抜かす。はり紙して住めんようにしたる。直立不動で軍人勅諭を言え。パトカーで迎えに行って放りこんだろか。豚箱に入れて帰さない。大阪府警は奈良の大仏でも物言わすぞ。
 午前10時から午後8時まで、机を蹴る。電灯を顔に照らす。唾をかける。お前の娘をここに呼び出す。離婚まで追いやるかも分からん。
 お前の会社を潰す位訳がない。

1990年愛媛衆議院選挙買収事件 2/18選挙の前、1/11後援会の1万人の参加、バス33台、内1台のバス乗客41人に5000円入り封筒が配布されたとの起訴
 実は、名刺とパンフレットが入っていただけ。動員に欠席があり、幹事は慌てて8人に足代5000円で動員をかけ、終了後バスの外で8人に5000円を払った。この話を聞きつけた警察は41人全員に5000円が配布されたと思いこみ検挙、一人5000円も払ったら、1万人にいくらかかるか、常識外れの容疑
 44人中15人逮捕勾留
 女容疑者へ脅迫「留置場に女も男も一緒に放り込む。トイレを我慢していると漏らす人もいる。男に弄ばされるぞ」
 「自殺者が出たらどうするのか。候補者の事務所が面倒見るのか、お前が面倒見るのか」と脅迫。
 否認していると、喫煙の禁止、ウソ自白すると許可
「おどれ、この腐れ外道が」
「何ぬかしとる。おどれは」と足蹴
「またおどれとぼけやがって」と後ろから腕で首絞め
「おまえは儂の高校の先輩だが、同窓会名簿から抹殺してやる」
 頭を机にこすりつける。襟組つかむ。灰皿投げつける。
 拳銃型ライターをコメカミに押しつけて火を付ける。

2010年新聞報道 遺失物横領の嫌疑で任意呼び出された被疑者に向かって、警部補が「こら、お前、警察なめとったらあかんぞ。人生滅茶苦茶にしたる。家族まで調べる。拾った財布出せ。出せ、出せ。知らんじゃ済まんぞ。シャブ中以上の嘘つき、頭おかしいんちゃうか」とか罵声を浴びせ、蹴った椅子が被疑者の足に当たった。被疑者が録音しており、後で録音機を見せると、警部補の態度が一変。お前呼ばわりから、「ちゃん」呼びと変わり、「信じているから、そんなん消しときや」と猫なで声、被疑者が録音消去ボタンを押すと、警部補は握手を求めた。 消した筈であったが、録音機のごみ箱機能に残っていた。
 警部補は脅迫で起訴された。どうも、大阪近辺では、取調官は河内弁で「オドリャー、いてまうぞ」とか、言っているようです。
 朱に交われば赤くなる。ヤクザの取締をしている警察官は風貌まで似てきます。
 警察官検察官を紳士にする為には何が必要か。
 DVDの全面化です。
 2011年この脅迫事件は公判となり、被害者の証人尋問が予定されていたところ、被害者は勤務先のパソコンを転売した件で逮捕された。叩けば埃の出る人であったのか!? 被害者の証人尋問では、被害者は取調官の違法を訴える筈であったが、結局、被害者は、札付き、腰縄付きで出廷することとなり、検察官は被害者証言の価値の相殺効果を得ることとなった。
 人民諸君記憶せよ、お上に楯突くと、運命はかくの如し。
 三井環の事件もそうであった。
 2002年大阪高検公安部長三井環検事は人事の不満を抱き、検察の裏金問題を内部告発しテレビに生出演する予定であったとき、その前日、捜査情報を暴力団に渡した件の収賄罪で逮捕された。2005年大阪地裁は実刑1年8月の判決を下し、2008年最高裁の上告棄却により、三井検事は下獄した。
 組織に楯突く者の運命もかくの如し。