裁判員裁判12−83
「自白調書の読み方」2013.9.18
                 2011年1月〜  宮道佳男
枝葉or根幹・大筋説の具体的適用で、有罪志向が多いのが気がかりです。
 八海事件無罪破棄差し戻し最高裁判決
記録を反復熟読すれば、吉岡供述の中には真実に触れ、これを如実に物語っている部分のあることを到底見遁し得ないのである。事実審裁判官は、被告人の供述であれ、証人の供述であれ、供述の部分部分の分析解明にのみ力を致すべきではない、これらの供述の中には部分的には嘘もあり、食い違いもあることは原判示のとおりであるが、これらの供述は素朴で率直であり判示に言うほどの不自然さも感じられず、むしろ大筋を外れていないと思われる。おしなべて被告人の供述にしろ証人の供述にしろ、供述というものは枝葉末節に至るまで一致するものではない。記憶違いもあり、食い違いもあり、しゃべり過ぎて嘘のある場合もあるであろう。だからといって、そのような供述が常に不正確で採用に値しないものということはできない。同じ供述でも採用できる部分もあれば出来ない部分もあるのであって、大事な点は、その供述が大筋を外れていないかである
松川事件最高裁破棄差し戻し判決 下飯坂少数意見「自白を全体的に展望し、その細部に多少の食い違いや曲折はあるにはあるが、その大筋からいささかも外れていず、供述の一貫性は保たれているのではなかろうか。