裁判員裁判12−98
「自白調書の読み方」2014.1.14
                 2011年1月〜  宮道佳男
31、偽証罪で脅して供述変更強要
 証人が検察官の思いとおりの証言をしないとき、検察庁へ呼び出して偽証罪で逮捕して供述の変更を要求する。自白強要の最たるもの
 1955年京都五番町事件 遊郭での喧嘩の果ての刺殺事件 4人組の少年が逮捕され自白したが兇器のナイフが未発見
 公判で目撃者の20歳女性が「4人組でない少年が便所で血の付いたナイフを洗っていた」と証言
 検察官のこの女性を呼び出し偽証罪で逮捕一晩留置した。証言を訂正させる為の圧力である。その後八海事件をモデルとした映画「真昼の暗黒」ラストシーンは、まだお母さん最高裁がある−を見て感激した真犯人が自首してきた。4人組は無罪となり、女性は起訴猶予になった。不起訴ではなく、起訴猶予については参議院法務委員会で共産党志賀義雄委員から非難された。前坂俊之冤罪と誤判
 八海事件 被告人阿藤の内妻木下六子は1審で一緒に就寝していたと犯行当夜のアリバイを証言したが、事件から7年後偽証罪で23日間逮捕され起訴されて執行猶予付き有罪判決を受けた。そして最高裁から差し戻し後の控訴審で「犯行時間帯に阿藤は30分から1時間外出し、帰ってから洗濯をした」と不利益証言をした。
 六子は被告人の逮捕後別れ、別の男性と結婚し子供も生まれていたが、別れて再々婚していた。裁判沙汰に付き合わされ、夫から苦言を言われ、又阿藤が新しい女性と文通交際をしていることを知って、感情の変化が生じたのである。
 最後の最高裁は言う「三度目の控訴審が新証言を採用するが、新証言は、長年にわたって維持されて来た旧証言の内容を一変したものであるから、その信用性を判断するには、その供述態度に注目するだけでは足らず、求めうるすべての資料によってその動機状況(木下については、とりわけその置かれた境遇」をも検討するほか、特にその供述内容が客観的証拠に符合するかについて慎重な吟味を加えなければならない」