自由・平等(第11〜14条)
( 現行条文 )
第11条
 国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与へられる。
第12条
 この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によって、これを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用してはならないのであって、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。
第13条
 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。
第14条
@すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。
A華族その他の貴族の制度は、これを認めない。
B栄誉、勲章その他の栄典の授与は、いかなる特権も伴わない。栄典の授与は、現にこれを有し、又は将来これを受ける者の一代に限り、その効力を有する。
( 改正案 )
 現行条文に賛成であり、改正案は特にない。
 ただ、@項、人種、信条、性別、の次に、「心身の障害」を入れたい。障害者に対する差別をなくしたいからである。
 例、ドイツ連邦共和国基本法( 1949年)は1994年改正で「何人も、その障害を理由として不利益を受けてはならない。」と追加されている。
ただ、注記しておきたいことは、
   個人として尊重される
   法の下に平等
   人種で差別されない
 との思想は、民族主義を否定したものと評価されるべきである。
 各国憲法の中には、民族主義を打ち出すものもあり、日本でも、日本が単一民族であることから、民族主義的性格を濃厚にしようとする憲法改正案も見受けられる。しかし、私は、それに反対する。
 民族主義的性格を強調すると、天皇は、民族長となり、国王とか元首に近くなり、象徴としての性格と離れてくる。
 日本国民は、日本民族だけで構成されていない。ここで言う日本民族はヤマト民族と同じ意味である。遠くは、征服された、熊襲、蝦夷、アイヌ、の民族は日本民族とは、異なる。琉球王族は、熊襲の末裔か、征服した日本人の末裔か、不明であるが、琉球出身の日本共産党書記長徳田球一が戦後間も無く唱えた説によると、琉球民族は日本から独立せよ、とのことであった。
 日韓併合により、朝鮮王は日本天皇に朝鮮国民を売り渡し、朝鮮国民は日本国籍を取得したが、太平洋戦争敗戦時に日本国籍を失った。本来、この国籍剥奪は憲法違反である。人種により差別したことになるからである。台湾の中華民国国民についても同じである。
 敗戦時に、朝鮮国民、中華民国国民に、日本国籍離脱の有無について自由選択させるべきであった。
敗戦後、大韓民国から帰化する人が多く、最近は、中華人民共和国、中華民国、タイ、フィリピン、アメリカから婚姻を理由とする帰化が多くなった。国際主義と民族主義の対立が始まる。これからはヤマト純血民族は少なくなるが、危機感を感ずる人はますます民族主義を先鋭化させるであろう。その方向は、天皇主義、民族主義、神道、へと進み、復活するナチズム、外人労働者排斥、ユダヤ迫害と同調を始めると、危険が発生する。
 日本国憲法にとって、必要なことは、民族主義は心の中の自由の問題にとどめ、法的には評価しないことが必要である。
 天皇家の神道による祭祀は、国事行為ではなく、家の私事として、外に非公開としなければならない。