日本人拉致問題の解決 2
2018/6/11
 
 2017/12/26に、前稿を書いたが、6/12に米朝会談がシンガポールで開催されるのが近づき本問について再論する。
 前回は、懸賞金による解決を提案したが、読者からのさしたる反響もなかったから、別案を検討した。

 日本人拉致事件は刑法的には何に分類され、何の法律が適用されて如何なる処罰がなされるべきなのか。?
 金正日の指令により朝鮮民主主義人民共和国工作員が拉致を実行したことは、金正日自身が小泉総理に自白して謝罪したことから明らかとなっている。
 ならば、金正日と実行犯の工作員が拉致実行したことは、日本刑法224条未成年者略取誘拐罪から第229条までの誘拐罪に該当し、金正日と工作員は共謀共同正犯となる。
 金正日は日本国内にいないから刑事時効は進行しない。しかし2011年12月17日死亡しているから、被疑者死亡により、不起訴となる。その他の実行犯の時効は進行していない。
 金正恩は金正日の跡目を継いで朝鮮民主主義人民共和国の全権力を承継している。拉致事件についても当然承知しており、拉致誘拐監禁継続の事務引き継ぎを受けている。日本人誘拐監禁は朝鮮民主主義人民共和国の国家的事業なのである。
 金正日は被疑者死亡により誘拐罪は不起訴となったが、引き継いだ金正恩は何の罪に問われるべきか。金正恩自身は誘拐罪を犯してはいない。
 日本刑法220条逮捕監禁罪である。「不法に人を逮捕し、又は監禁した者は3月以上7年以下の懲役に処する」
 日本刑法は、国内犯を処罰することを原則とし、国外犯は例外的に処罰することにしている。
 当たり前のことであるが、アメリカ国内でのアメリカ人同士の殺人事件に日本は裁判権を持たない。しかし、アメリカ国内で日本人が殺されたときは、日本は裁判権を持つ。アメリカ人の犯人が偶々日本に入国していれば、逮捕して裁判に起訴することが出来るし、国外にいても、国際指名手配を国際刑事警察機構に依頼して逮捕して貰い日本国内へ連行して裁判に起訴することもできる。従って、殺人罪は国外犯の範疇に属する。日本刑法第三条の二の二号に規定がある。
 第三条の二「この法律は日本国外において日本国民に対して次に掲げる罪を犯した日本国民以外の者に適用する」
 では、監禁罪はどうか。日本刑法第3条の二の四号により国外犯と規定している。
 ついでに言うと、誘拐罪も国外犯と規定されている。

 金正恩は北朝鮮のどこかの収容所に横田めぐみさんをはじめとする日本人を監禁していることは間違いがない。監禁罪の成立は疑いもない。

 家族会と救う会が政府に早期救出を陳情しているが、政府は「打つ手がない、トランプ大統領には頼んでいる」と回答するのみである。
 しかし、打つ手はある。
 東京地検は東京地裁に金正恩の逮捕状を請求し、地裁は発給する。政府は国際刑事警察機構を通じて金正恩を国際指名手配とする。
 政府はマレーシア政府にこのやり方を教える。金正恩の金正日殺しはマレーシア国内の犯罪であり、マレーシア政府は裁判権を有している。マレーシア裁判所が逮捕状を発給し、国際刑事警察機構へ通告する。日本とマレーシアはシンガポール政府に対して身柄引き渡しを要求する。中国に滞在して居れば中国政府に対しても出来る。
 金正恩は外交官特権を主張するであろう。しかし金正恩は元首であり、国家の代理人たる外交官ではない。古来、元首が外交官特権を主張したことはない。元首は戦いに敗れたときは、自決するか、自国或いは敵国の裁判に掛けられるか、友好国へ亡命するしかない。
 金正恩は核兵器廃止をちらつかせ平和の使者を演じようとしている。しかし、これは全くの嘘であることは明らかなのであるが、第三次世界大戦核戦争を避けたい人に対しては魅惑的嘘の効果がある。
 金正恩を世界の凶状持ち、世界指名手配犯罪者として宣伝する必要がある。叔父殺し、兄殺しの凶悪犯の言う嘘の平和に騙されないようにするべきである。
 東京地検が東京地裁に逮捕状請求しないのならば、家族会、救う会は東京地検に刑事告訴をしてその進退を糺すことができるし、不起訴の場合には検察審査会への異議申し立てという道もある。