歴史評論9−10   名古屋空襲と戦犯裁判
2012.2.15
         
7、国際法の報復の権利

 ハーグの陸戦・空戦規則とロンドンの潜水艦戦闘行為議定書を破ったのは、チャーチルとルーズベルト大統領である。先に過ちを犯したのは勿論ヒトラーであるが、十数倍にしてお返しをしている。戦時国際法には報復の権利という思想がある。敵国が国際法違反をしたとき報復する権利である。しかしこれには同量・同種かつ相当な手段という原則があり、無差別爆撃されたら同量の無差別爆撃をすることはいい。しかしチャーチルやルーズベルト大統領は10〜20倍返しをやりすぎて違法の領域までに達している。無差別爆撃の死者を比較すると10〜20倍返しになっている。ヒトラーは1944年6月からV1V2ロケットで9000人殺したが、15対1の9回裏1点を取ったような野球のゲームであった。最後のV2は1945年3月27日ロンドンで127人を殺害している。

 報復の原則には手段の相当性があり、報復として真珠湾で戦闘員が殺害されたからといって東京の非戦闘員市民を殺害する報復の権利はない。又、ヒトラーが欧州で無差別爆撃をしたことへの報復として日本へ無差別爆撃することは許されるはずもない。
 日本はアメリカ支配地に対して無差別爆撃をしていない。したことはただ一例、1945年5月アメリカ大陸オレゴン州に到着した風船爆弾を触っていて爆死した牧師一家6人だけである。一方日本空襲の死者は約50万人、内1945年3月10日東京空襲10万人、広島22万人、長崎7万人であった。50万対6であった。