戦  間  期  論  (3)      2017年3月

1、2017年2月14日は大変な事件が起きました。金正恩が兄金正男を白昼公然とクアラルンプール空港で殺したのです。
 弟が兄を殺すという事件で、私は秦の始皇帝を思い出しました。
秦の始皇帝は他国を征服し、中国統一王朝を始めて建国しましたが、とても残忍な男で敵は皆殺しとするやり方でした。始皇帝は全国巡幸しているときに病死しましたが、同行していたのは末子と宦官でした。末子と宦官は共謀して始皇帝の遺言書を偽造し、長男の皇太子を廃嫡して死を賜うと書きました。首都に戻った末子はこの遺言書をタネにして、自ら皇太子となって即位し、長男を自殺に追い込み、さらに他の兄達を皆殺しとしました。始皇帝の陵の周辺には兵馬俑が出土しておりますが、その近くに王族用の陪墓があります。これを発掘したところ、バラバラになった骨が出てきました。末子は兄達を処刑するとき、両手両足をロープに結んで馬に引っ張らせるという八つ裂きの刑を実行したのです。
 なぜ、このように野蛮になれるのか、始皇帝は漢民族ではなく、北東アジアの遊牧民でした。田畑を耕し米麦を生産するという農耕民族と、羊を殺して食うという狩猟民族の気質の違いがあったのです。中国王朝を見ると、漢と明と宋は漢民族ですが、その他は全部北東アジアの匈奴、ツングール、モンゴル、女真族という放牧・狩猟民族だったのです。漢民族は孔子の忠孝の儒教の思想を持っていますが、放牧民族は持っておらず、人殺しを平気でするのです。朝鮮は、唐以来、漢民族の忠孝重視の儒教を受け入れ、今でも韓国は儒教の国ですが、北朝鮮は金三代の統治のもと、スターリン主義を導入して主体思想と名付け、忠孝の儒教を排斥してしまいました。金正恩の悪行は更に続くでしょう。平安時代11世紀初に北朝鮮から沿海州に女真族の刀伊という国があり、日本の北九州地方を襲い日本人470人を殺し、1300人を人さらいしていきました。奴隷にするためです。金正日は昭和の時代に同じことをしました。
 卑弥呼の時代、朝鮮半島は南西部に百済、南東部に新羅、北半分から満州に高句麗が併存し、戦争を続けていましたが、強国高句麗の領土は北朝鮮だけではなく満州まで広がっていました。今でも満州には朝鮮族がいるのはその名残です。金正恩は朝鮮半島を統一した後は満州併合を意図して中国に攻め入るでしょう。北朝鮮人は南部の農耕百済人とは違い、むしろ狩猟放牧の女真族・満州族に近い。
 戦争の揚げ句、高麗が918〜1392年統一します。
 北朝鮮から満州、沿海州にかけて10世紀に契丹という国が阿保機により建国されました。その次男太宗は長男倍を皇太子から追放し、王位を継承した。長男倍(東丹王)は後唐へ亡命した。その後契丹は後唐を攻め、賓客の東丹王を殺害した。弟の兄殺しはこのあたりの習わしである。
 暗殺指揮団の4人は北朝鮮へ逃げ帰りましたが、今頃処刑されているかもしれません。金正恩は「『暗殺せよ』と命令したのに、防犯カメラの前でやる奴は馬鹿か」と怒っているでしょう。
 
2,朝鮮戦争の総括

@金日成は朝鮮戦争をどう総括しているか。

朝鮮戦争は金日成が提案し、スターリンと毛沢東が承認し支援を約束したことから始まる。
朝鮮戦争は負けなかったが、勝てなかった。引き分けである。
 負けなかった理由は、ソ連と中国という後背地があり、支援が得られたことである。
 勝てなかった理由は、韓国が日本という後背地を持ち、補給、修理、兵員の休養が出来たことである。
 金日成は第二次朝鮮戦争での勝利を遺言している。その遺言を実行しなければならない金正日はそれから60年間作戦計画を何度も練り上げたであろう。
 その作戦計画は、後背地の日本占領か、事実的に日本を軍事の後背地とさないためにどうするかということである。後背地日本をなんとかしなければ第二次朝鮮戦争に勝てない、とするのが金日成・金正日の結論である。
 1950年6月奇襲攻撃でたった3日でソウルを陥落させ、怒濤の勢いで釜山を見下ろす位置まで進軍したが、日本から続々と到着する米軍と国連軍に阻まれ、さらに仁川上陸作戦により北鮮軍は退路を断たれた。中鮮国境まで後退するが、中国人民軍の参戦によりまたソウルを占領する。マッカーサーは中国内地の補給網を破壊するために水爆の投下を決断するが、トルーマン大統領に罷免されてしまう。トルーマン大統領は第三次世界大戦勃発を恐れる余り、マッカーサーに中国とソ連への進撃や爆撃を禁止していた。水爆が中国内に投下され、中国という後背地を失えば北鮮軍の敗北は明らかであった。民主党トルーマンは開戦二年目あたりから朝鮮戦争の勝利を願わなくなった。日本に原爆を投下した最大の人殺しが朝鮮戦争の戦況を眺めながらチキンになったのである。開戦当時の38度線での痛み分けの和平を願うようになり、積極攻勢のマッカーサーを牽制していた。マッカーサーが勝利者になれば、次の大統領選挙での当選は間違いないと恐れたのである。現実にはマッカーサーは罷免されて引退し、ドイツ戦線の英雄アイゼンハワーが共和党大統領になっている。
 かくして、北朝鮮は日本を降伏させたアメリカに負けなかった。日本も降伏せずに本土決戦して山の中に立てこもり昭和25年まで戦い続けていれば、朝鮮戦争勃発と共に有利な講和条約を締結できたであろう。勿論その間に100万人は戦死しているであろう。
 

A 後背地作戦、在日朝鮮人と朝鮮総連の役割

 金日成は朝鮮戦争開戦時に日本という後背地対策を真剣に検討したであろう。この後背地対策についてスターリンと毛沢東も関わっている。
 朝鮮戦争中、後背地対策としては在日朝鮮人→朝鮮総連を利用した。在日朝鮮人の共産主義者は終戦直後に日本共産党に加入して共産主義活動をしていたが、金日成の指導により一斉脱党して朝鮮総連を組織した。朝鮮総連の役割は在日朝鮮人の権利擁護であったが、裏の役割として日本後背地の軍事的混乱作戦を採った。ただ朝鮮総連は武器に不足していたので、米軍基地への襲撃は出来ず、鉄道破壊を行った。松川事件がそうだ。作家松本清張は米軍の陰謀説を唱えるが、金日成の指導下の朝鮮総連の仕業である。
 日露戦争のとき、北京にいた日本人民間人は日本軍の依頼の元に義勇隊を組織し、馬に爆弾を積んでシベリヤ鉄道破壊工作に出発した。成功すれば、奉天のロシア軍の補給路を断つことが出来る。秘密作戦であるが為に彼らには軍服が与えられなかった。やがてロシア軍斥候隊に逮捕され、ドイツ人新聞記者も傍聴する公開軍事裁判で死刑となった。軍服を着ておれば、捕虜の待遇を受けるところであったが、日本軍は作戦の秘密裏の成功を願う余り軍服を与えなかった。戦場では軍服を着用しない者は軍人ではなくスパイと見なしてもよいのが国際法である。日中戦争では、国民党軍は敗走するとき軍服を脱いで民間人の群れに隠れた。捕虜になるのを免れる為であったが、捕虜獲得を命令された日本兵としては区別がつかないから、兵役相当年齢の男子を逮捕し民間人偽装の容疑で現場処刑をした。
 金日成指導の朝鮮総連の日本後背地攪乱作戦は、軍歴を持つ指導者の不足、武器不足により先細りになっていった。
 金日成とスターリンと毛沢東は、日本共産党にも後背地攪乱をさせようとした。当時日本共産党は野坂参三議長の平和革命路線を宣伝していたが、朝鮮戦争開戦1950年6月の直前の1月にコミュンホルムの野坂批判が始まった。平和論では共産革命は達成できない。武装蜂起革命が必要だ、中国共産党式の人民戦争が不可欠と批判した。
 これは金日成とスターリンと毛沢東の立案する日本後背地作戦なのである。共産主義の総本山の指令に日本共産党は弱い。すぐに分裂し、軍事革命路線に転換した。1951年4月徳田球一と野坂参三がスターリンにモスクワまで呼び出され、中国共産党幹部王家監督の下で、説教されると簡単に軍事革命論に転向してしまった。断れば銃殺か監獄行くになりそうであった。日本共産党と朝鮮総連が団結でき武器の輸入も成功し日本内乱に導ければ朝鮮戦争の帰趨も変わっていたであろう。しかし、日本警察の活躍によりこれは阻止され、逮捕状の出た野坂参三も徳田球一も伊藤律も密航漁船に乗って日本から北京へ亡命を余儀なくされ、内乱と後背地攪乱は失敗となった。毛沢東は日本共産党亡命者が建設した北京機関に援助を与え続けた。北京機関からのラジオ放送で指導を受けた日本に残留した日本共産党員は山村工作隊を結成し山の中に軍事根拠地を建設しようとしたが、武器が届いていないので、すぐに日本警察に壊滅させられてしまった。昭和40年代の連合赤軍は鉄砲を奪取しあさま山荘では銃撃戦を演ずるまでしたが、日本共産党の山村工作隊はそれさえ出来ず壊滅した。
 金日成は日本共産党と朝鮮総連の能力に対して深い失望を感じたであろう。

 1954年朝鮮戦争は停戦となる。あしかけ5年間の戦争であり、丁度太平洋戦争と同じである。北朝鮮は日本資本の重工業が繁栄しており、立派な発電所もあった。朝鮮民主主義人民共和国はこれを無傷でただで手に入れたが、朝鮮戦争の結果、国土と工場は荒廃してしまった。特に軍民の死傷者が多く、労働力の不足が激しかった。金日成は在日朝鮮人に目を付け、朝鮮総連に祖国帰還運動をさせた。日本人から民族差別を受けていた在日朝鮮人は北朝鮮・朝鮮民主主義人民共和国に希望を抱いて大量帰国をしたが、帰国者の数は毎年減少を続けた。
 金を持って帰国した者には最初手厚く待遇したが、乞食同然で帰国した者には乞食扱いをした。在日朝鮮人の期待と現実の乖離は激しかった。
 金日成にとっても帰国した在日朝鮮人の扱いに手間取った。日本での裕福な生活を知っている者は貧乏な祖国を馬鹿にした。日本では、言論の自由、実業の自由を体験し、自由に創業が出来、働き具合と幸運さえあれば金持ちになれた。しかし、北朝鮮では共産主義なので創業は禁止され、党が指定した工場に勤務するしかなかった。在日朝鮮人は日本で選挙制度を目撃していた。北朝鮮がは自由な選挙がなく、議員は党の指名である。自由な国だと信じて帰国し、色々意見を言うと、公安部に逮捕され、思想改造収容所にたたき込まれる。この話が日本に伝わったから毎年の帰国者が激減していった。金日成は帰国者が自由思想に毒され、忠良な朝鮮民主主義人民共和国民としてはふさわしくないと考え、北朝鮮の要職から閉め出し、差別するようにした。日本で差別されていた在日朝鮮人が今度は本国で差別されるようになった。
 金日成は国民を分類し、金日成一族を頂点に置き、朝鮮労働党員、兵士、労働者、農民からなるピラミッド支配構造を建設した。帰国した在日朝鮮人を最下部においた。
 金日成は第二次朝鮮戦争での日本後背地攻撃作戦の手玉として朝鮮総連を活用することを諦め、本国への送金に役割を見いだした。祖国へ多額の寄付をした者には勲章や国会議員の資格を与えて懐柔した。
 先に帰国した在日朝鮮人は日本の親類に生活苦を訴えて送金を懇願してくる。これに応じた送金額が馬鹿にならない。北朝鮮にとって貴重な外貨収入源となった。しかし、現在では親類も老齢化し送金は激減したし、平成バブルの崩壊と共に朝鮮総連系の銀行は破綻し、金正日は金つるを失った。麻薬の密貿易をやって大儲けしたがこれは今でも続いている。
 金日成にとっては、在日朝鮮人も朝鮮総連も日本後背地作戦に使うつもりはなくなった。日本思想に毒された在日朝鮮人を日本国内で秘密工作員・スパイとして使用することも諦めた。命がけで秘密を守れないからである。秘密工作員は大韓航空機爆破事件の工作員のように露見したら自殺する覚悟がなくてはならない。在日朝鮮人を一本つりして北朝鮮のスパイ養成所で訓練する方法もあったが、日本警察の在日朝鮮人登録管理が厳重で有り困難であった。
 結局、金日成と金正日は、自前の工作員を日本へ密航させて日本後背地作戦をすることとし、日本各地にアジトを作り、工作員には在日朝鮮人との接触を禁止した。北朝鮮からの指令はピョンヤン放送の乱数番号で聞き取った。

 昭和40年代からの日本人誘拐拉致事件はどんな作戦だったのか。北朝鮮の説明では、日本語教育者が欲しかったとのことである。しかし、当時の北朝鮮人も在日朝鮮人も日本語に堪能で有り、別に日本人をさらう必要はなかった筈である。しかし、日本語の教育だけではなく、昭和40年代の日本人の風俗習慣を工作員に教育する為に必要だった。北朝鮮人や在日朝鮮人では、発音の朝鮮訛りを察知されるし、美空ひばりも島倉千代子も知っていなければならない。食べ方も衣服の着方も昭和40年代の日本人と同じでなければならない。だから日本人をさらってくることにした。在日朝鮮人を使うと、秘密が漏れることを恐れた。金正日は在日朝鮮人を信用していなかった。
 金正日は日本人の中から工作員を養成できないかを研究した。よど号ハイジャックの赤軍派が亡命しており、この左翼過激派のルートで日本人工作員を養成し組織化ではないかと考えた。昭和40〜50年代、韓国系の統一教会がえせキリスト教を日本人青年に宣教し大きな成果を上げていた。洗脳された日本青年は何万人もおり、インチキ商売をして何十億という金を統一教会に献金した。統一教会はその金で日本と韓国の政界を操り政治勢力として一定の位置を占めるまでになった。
 金日成金正日はこれを見て同じことが日本で出来ないかと考えた。日本の左翼のルートで一本つりした日本人に主体思想を宣伝し、各地に主体思想研究会を組織した。統一教会も主体思想研究会も、日韓併合は日本の侵略であり、日本人は罪の意識を持たなくてはならない、朝鮮に贖罪せよと洗脳した。統一教会はキリスト教、主体思想はマルクス主義を基礎とするものであったが、中核革マルの内ゲバ、連合赤軍の集団リンチを見てきた日本青年はマルクス主義を嫌悪しており、全く主体思想研究会は広まらなかった。結局活動停止となったが、何人かは北朝鮮へ行き、工作員の語学教師をしているようである。また、よど号ハイジャックの赤軍に加入して北朝鮮での秘密任務に就いている。

B 誘拐拉致事件、国際テロ事件
 海岸のアベックが一番適当であった。アベックならば異境で慰め合って錯乱自殺をすることもない。さらわれたアベックは工作員と寝起きして、どこから見ても工作員が日本人に見えるように教育する任務を与えられた。大韓航空機事件の金ヨンヒの話す姿を映像で見たことがあるが、少し発音がおかしい。工作員語学教育で満点を取っていなかったようだ。相棒の老工作員の発音は完璧だったようで、不審に思われることはなかった。多分、戦前生まれの北朝鮮人で日本語に堪能で優秀な労働党員の工作員だったであろう。彼は事件が露見すると服毒自殺を敢行したが、金ヨンヒは失敗し、韓国の法廷ですべてを自白し、今は釈放されている。
ついでにラングーン事件について書く。1983年ラングーンを訪問した大韓民国全斗煥大統領一行を暗殺するために軍人で工作員の一人の大佐と二人の大尉が北朝鮮貨物船でビルマに潜入した。三人は一行が国父アウンサン廟へ表敬訪問したとき仕掛けた爆弾を破裂させたが、全斗煥は未着であったので爆死を免れたが、大韓民国閣僚等17人、ビルマ閣僚4人が爆死した。ビルマ警察の捜査により犯人3人は追い詰められ、銃撃戦の末、大尉一人は射殺され、少佐ともう一人の大尉は重傷のまま逮捕され裁判に付された。裁判で少佐は完全黙秘を貫いて1985年死刑となり、大尉は自白して大韓民国へ行きたいとまで告白したが、無期刑となり、その後2008年獄死した。
 ビルマは南北等距離外交をしていたが、即時国交断絶したが、2007年国交を回復している。マレーシア政府はどうするのであろうか。

 いったい、どのように海岸からアベックを誘拐したのであろうか。帰国者の話によると、麻袋を頭から被されて船らしいものに連れ込まれたようである。
 北朝鮮の密航船が日本海を出入りしていたことは想像できるが、日本警察や海上保安庁が現場で逮捕した事例は一つもない。北朝鮮の工作員は日本海岸から出入りを数多くしていた筈であるが、一つも海岸で密入国を検挙できた例はない。何故完璧な誘拐と密入出国が成功したか。密航漁船を使ったのではなく、潜水艦を使用したと思われる。日本警察や海上保安庁が無能であったことは否めないが、本来対潜哨戒能力を有する海上自衛隊の仕事であった。いまでも北朝鮮の工作員の日本潜入は続いている。海上自衛隊の対潜パトロールは実行されているであろうか。海上自衛隊は地上レーダーを用いて日本海警備をしている筈であるが、これでは潜水艦を探知できない。日本海の海底に水中ソナーを張り巡らせるべきである。
 昭和40年代からの日本人誘拐事件は、工作員教育目的と判明したが、横田恵さんだけは理解不能である。なにしろ中学生で有り、アベックではなく、単体なのである。私が知る犯罪統計学によると、女子中学生の誘拐事件の6割は性犯罪である。大人の女と見間違えたということはあり得ない。下校途中で有り、中学校の制服を着ていた。女子中学生と狙って誘拐している。身代金目的の中学生誘拐など1割もない。その他は犯人の精神不明の犯行に分類される。
 北朝鮮から満州、沿海州にかけて、誘拐人さらい、奴隷売買、慰安婦取引はこの2000年間当たり前のことであった。

3、金正恩の日本征服作戦
 
@、日本占領計画
 金正恩は核兵器とミサイル実験を繰り返しているが、どのように作戦に用いるのであろうか。ピョンヤン放送では、在日米軍を標的にすると放送している。後背地の在日米軍を水爆で消滅させてから38度線を南侵突撃するつもりのように読めるが、数カ所の在日米軍基地を消滅させた位では日本の後背地としての役割は消滅させ得ない。
 米軍は残った日本拠点を基地として整備し、北朝鮮へ出撃できるからである。日本占領は計画していないのであろうか。日本を軍事占領して後背地としての役割を消滅させれば第二次朝鮮戦争は勝利できるが、1.2発の水爆では後背地を破壊し尽くせない。むしろ日本自衛隊の朝鮮上陸作戦を招く。
 
A ドイツのフランス占領
 1940年ドイツ軍はベルギーと北フランスを突破してパリ近郊に接近した。フランスの元帥ペタン首相はドイツ軍の強力さに恐怖し敗戦主義者になってしまった。殺されるより奴隷の平和を求めた。パリを奪われてもフランス南部で抵抗する道があった。なにより海軍は健在であり、アジアとアフリカの植民地軍は健在である。何年でも戦い続けることが出来たのに、怖じ気ついて降伏してしまった。降伏条約調印されて、北フランスはドイツ軍に占領され、南フランスだけが残され、ペタン首相の政府はビシーに移転しビシー政府を樹立した。
 ドイツ占領軍はフランスを直接軍政ではなく、旧来のフランス政府機能を残したまま間接支配をし、占領経費の節約をした。占領税としてフランス歳入の6割を徴税した。占領下の後半の時期にはドイツ占領地は南半分に拡大された。
 マッカーサーも同じことをした。マッカーサーの出した占領命令には、日本の役人は唯々諾々と従った。天皇が従えと国民に命じているから、マッカーサー命令は天皇より偉かった。マッカーサーは占領税までは課税しなかった。しかし、日本国内の官民施設工場港湾などを無償で召し上げ、進駐軍には特別列車が日本負担で提供され、爆撃を免れた民間の建物は進駐軍用に召し上げられ、居住者は追い出された。女たちは慰安婦となり、進駐軍用慰安所が開設され、その経費は日本負担であった。
 フランス兵はドイツ軍の捕虜とされ、ドイツ国内の捕虜収容所に送られ、ドイツの軍事工場で強制労働させられた。ソ連が関東軍兵士をシベリヤへ連行して強制労働さた例と同じである。ドイツ軍は北フランス内の官民の工場を接収し、フランス民間人に安い賃金で軍需生産をさせた。従事しないフランス人は反ドイツ行為として処罰された。第二次世界大戦中、フランスはドイツの巨大な後背地となった。フランス人の製造した戦車がロシア戦線で戦ったのである。本来ならば、フランスはドイツに降伏して対独協力をした国家としてドイツと同じく敗戦国になるべきであった。それが戦後国連の五大国の一員となり、戦勝国としての名誉を獲得できたのは、ドゴールのお陰である。国防次官だったドゴールはロンドンに脱出し、フランス臨時政府を樹立し、海外フランス人を組織し国内のレジスタンスとともに対独戦争をしたが故に戦勝国になれた。ペタンは脱出したドゴールを欠席裁判で反逆罪死刑判決とした。ドゴールは勝利後ペタンを公開裁判で反逆罪死刑判決としたが、執行されないまま、獄死した。ペタンの下のラバル首相は反逆罪で死刑判決となり、毒薬自殺をはかるが無理矢理蘇生させてから死刑を執行させるという残虐な仕打ちを受けた。
 ドイツ兵の妾になっていたフランスの女たちは窓から突き落とされ、または髪を剃られて街頭を引き釣り回された。民間人による対独協力者へのリンチは多すぎて統計がない。
 日本でも女は米兵の慰安婦になっていたが、講和後リンチを受けたことはない。

B 日韓併合

 大韓帝国は清国に服属していたが、日清戦争を経て日本の支配下に入った。皇后閔妃は日本を嫌いロシアと結ぶことを計画したため、日本大使館付属の日本軍は王宮に乱入し閔妃を焼き殺してしまった。その上で気の弱い国王に日本との併合を強要し、日韓併合条約に調印させた。国王を日本の準皇族待遇とし、大韓帝国の貴族も日本華族待遇として大韓帝国支配層を籠絡した。皇太子は東京へ拉致され日本式教育を受けさせられ梨本宮の娘を結婚させられた。生まれてくる子は日本併合下の大韓帝国国王となる予定であった。
 清国最後の皇帝溥儀は日本軍の誘惑に乗り、満州国の初代皇帝となったが、ホモなので子供は産まれない。その弟溥傑はまともだったので、日本軍は宮家の娘と結婚させた。産まれてくる子供は将来満州国二代皇帝となる予定であった。
 日本は大韓帝国の政争に介入したり、殺したり、恫喝したり、誘惑したりして、併合を実現し、帝国主義侵略をやってのけた。婚姻政策はその総仕上げである。

C 東条英機と山本五十六の決断

 此の二人は英米戦を決断し、海軍は真珠湾を、陸軍はシンガポールを攻撃した。負けるとは思っていなかった。しかし、事実は完敗であり、大日本帝国は崩壊した。
 此の二人は何故勝てると誤算したのか。二人とも陸軍大学海軍大学の秀才であったのに。
 1940年のドイツの対フランス勝利に酔い、ドイツ軍の無敵を信じてしまった。1941年独ソ戦を始めるが、ドイツが勝つと信じていた。ドイツがフランスからロシア・ウラルまで占領し、米英はドイツと戦争しても勝てない。ドイツ占領圏と英米支配圏が両立すると信じていた。ならば英米が支配するアジアを横取りにして大東亜共栄圏を建設し、世界三分立を成功させようとした。
 足かけ5年も続く日中戦争に日本は疲弊してきた。アメリカはハルノートを日本に送り、中国からの撤退を要求し、応じなければ、石油を売らないと通告した。日本軍の備蓄石油は1年分しかない。1年たてば軍艦は動かなくなる。アメリカは対英支援に忙しい。英米共に欧州戦線から抜けれないから、今が勝負、アメリカ東洋艦隊は真珠湾にいるが、海軍力は互角か、あるいはやや日本海軍優勢と読んだ。だから真珠湾を攻撃してアメリカ東洋艦隊を壊滅させれば勝機がある。ドイツ軍はソ連を屈服させた後に、中東へ攻め入る。イギリスとドイツの戦いが中東で長期化する。日本軍はタイビルマを占領し次にインドへ攻め入る。日本軍とドイツ軍はインダス川で握手をすることとなると夢想したのである。実際日本軍は1944年インド領インパールまで侵入している。ドイツ軍はソ連軍に反撃され、カスピ海手前で進撃が停止してしまった。約束を守ったのは日本軍だけであった。
 天下の秀才の東条英機と山本五十六が、いまなら勝てると大間違いの決断をして日本を破滅に導いたが、金正恩は何を考えているのであろうか。どの程度の脳みそなのか全く分からない。マレーシアでの兄殺し以来、国際論は厳しい。国交断行する国が増えてくるし、特に北朝鮮産の石炭の最大輸入国中国が削減してくるし、ロシア中国アジア諸国での出稼ぎも制限されてくる。ますます外貨が不足してくる。日本が石油の禁輸で開戦を決意した1941年の状況に似てきた。
 金正恩は日本軍機の真珠湾奇襲作戦を夢想していないか。
 閔妃焼き殺しの王宮襲撃を思い出していないか。恐れた国王が日韓併合に調印すれば、韓国国民は皆唯々諾々と従った。日本の昭和天皇が降伏と言えば国民は皆従った。同じことではないか。
 ドイツ軍のフランス占領支配を見習えば、日本占領で戦争経済は潤沢となる。戦争とは勝てば大儲けの商売だ。貿易制限で国勢がじり貧になるよりも、何より国民を食わせることの出来ない状況が続くことにより、国民の亡命の多発、ひいては反乱、暗殺の危険を外へ向けさせることが必要だと感じているはずである。
 ならば決断は、山本五十六と同じになる。じり貧で死ぬか、戦いに賭けるか、である。

D 日本征服作戦

 第一に、外交行嚢に水爆部品を詰めて、モスクワ、北京の北朝鮮大使館、ニーヨーク国連代表部で組み立て、起爆薬を電話回線で金正恩の部屋とつなげる。
 
 第二に、水爆を登載した潜水艦を嘉手納米軍基地沖合に潜行させ、水爆を海底に設置して無線回線と接続させる。

 第三に、拉致した日本人語学教師から教育を受けた工作員を何千人と日本へ潜入させる。彼らには、日本語と日本法と行政の知識を教育し占領政策管理者になれるようにしておく。

 第四に、爆買い中国人観光客に紛れて何千人の工作員を日本へ潜入させる。航空機とフェリーを用いる。

 第五に、潜水艦で武器を日本に送る。

 第六に、ある日、一斉に皇居と国会を襲撃し、天皇と政府幹部を捕虜にする。天皇にテレビで降伏勅令を読み上げさせ、朝日併合条約を調印させる。
 米軍の出方により、嘉手納基地沖の水爆を爆発さて、嘉手納基地を水没させる。東日本大震災の津波が仙台空港の自衛隊軍用機を全部おシャカにしてしまった。精度の怪しいミサイルより効果的である。
 モスクワ、北京、ニューヨークに水爆が設置してあることを公表し、北朝鮮批判の国際世論を凍結させる。日韓併合の報復として朝日併合をしているだけだから、第三国は手を出すな、と言い切る。
 

 第七に、自衛隊員制服組20万人を捕虜にし、北朝鮮へ連行し、強制労働させる。捕虜にならず逃亡した自衛隊員には東京地裁から逮捕状を発布させる。銃を突きつければ裁判官は逮捕状を発行する。戦後アジア各地で戦犯裁判が始まったとき、既に帰国していた戦犯容疑者に対して日本裁判官はマッカーサー命令で簡単に逮捕状を発行していた。その逮捕状で戦地の戦犯裁判所へ連行された人は殆ど死刑にされている。
 自衛隊の戦車・軍用機・艦船は接収され、北朝鮮に送られる。
 自衛隊の戦車を接収した朝鮮軍は横田基地を襲撃する。
 占領規則を国会で可決させ、連座制を採用し、服属しない者にはどんどん公開銃殺刑を執行する。フランスレジスタンスの摘発と処刑はフランス警察が実行している。何処の世にも、犬に成り下がる奴がいるものだ。
 日本人の占領反対者は全員逮捕、見せしめ公開銃殺刑、今北朝鮮で行われていること全部が実行される。東京拘置所の収容者は釈放され、占領反対者で満杯となる。

 第八に、日本財務省と日銀を接収し、占領税を徴税する。マッカーサーやドイツ軍のフランス占領を真似て、間接支配に徹底し、日本経済と貿易には手を出さず、占領税の徴税に主力を置く。国際社会は占領下の日本に対して経済封鎖を実行するが、日本国内備蓄だけで北朝鮮は3年は食える。

第九に、軍需用に転用可能な工場を北朝鮮に移動させ、その人員を捕虜並みに徴用する。

第10に、皇女三人を北朝鮮へ連行し、金正恩と結婚させる。皇太子・皇太孫も人質とし、金正恩の妹、娘と結婚させる。生まれてきた子を天皇にする。
 モンゴル帝国の元は、南宋を滅亡させ捕虜にした南宋兵士を日本攻撃に転用した。元は高麗を攻撃したが、高麗はしぶとく戦い、高麗は征服されることなく、朝貢国になった。蒙古襲来のときは元の命令で軍船の建造と兵士の派遣をしている。
 高麗の忠烈王は元への服属の証として元のフビライの娘を1274年皇后にした。その子の忠宣王は国王となり、また元から皇后を迎えた。此の例が四代続いた。結局朝鮮王家の血統は1/16となり、15/16はモンゴル族なのである。朝鮮の支配層は血統的にモンゴル化してしまった。

 第11、日本警察庁に命令して慰安婦を集めて北朝鮮兵士用の慰安所を開設させる。開設費用は日本負担である。

 第12、在日朝鮮人や日本左翼を官民の要職に抜擢させる。
 フランスの官民要人はドイツ占領軍にすり寄り、莫大な戦時利益を得た。日本のマッカーサー占領時代も同じであった。裏切り者が山ほど出る。安倍総理とか自民党の要職は拘置所行きとなり、左翼系の国会議員が首相に任命され、金正恩に忠誠宣誓をする。

 第12、金正恩の朝日併合成功を見ると、韓国の世論は意外な展開を示す。金正恩が天皇を捕虜にしたことに万歳の声が巻き起こり、金正恩は救国の英雄との賛美の声が高まる。
 そのときに、金正恩は、南侵しない、北朝鮮と韓国と日本とで東アジア連邦を建国しようと提案する。韓国左翼野党は実は北朝鮮の回し者なのである。東アジア連邦が正式発足する前の5年間は、北日本は北朝鮮の支配、南日本は韓国の支配とするとの提案をする。韓国に政変が勃発し、左翼が新大統領となると、38度線にいた韓国軍は九州上陸作戦の態勢をとる。
 太平洋戦争もあのまま進展していたら、北日本はソ連の占領下となり東ドイツのようになっていた。

 金正恩の日本征服、朝日併合など信じられない、という人が全員でしょう。
 しかし、真珠湾で日本軍機の攻撃を目撃した人は全員信じられなかったのです。
 アメリカ大統領も軍幹部も信じられなかった。ハルノートへの日本回答は、屈服するか、ベトナムで小競り合いを起こすか、援蒋ルート遮断作戦をおこすか、程度しか予測していなかったのです。
 トランプ大統領だって予測していない。ニューヨークに水爆設置したと驚かされると、トランプタワー崩壊を恐れて日本救援を渋ることになる。モンロー主義に立ち返り、朝日二国間問題に中立を選択するだろう。日本はアメリカの支援を当てにしてはいけない。
 秀才山本五十六も犯した過ちを金正恩が犯さない訳はありません。金正恩が酒飲みの愚帝であっていて欲しいが、どうもそうではない。秦の始皇帝のように見える。

以下、次号