選挙権(第15条) |
( 現行条文 ) @公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。 Aすべて公務員は、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない。 B公務員の選挙については、成年者による普通選挙を保障する。 Cすべて選挙における投票の秘密は、これを侵してはならない。選挙人は、その選択に関し公的にも私的にも責任を問われない。 |
( 改正案 ) 1、現行条文全部をそのまま、生かす。 2、追加として、 |
D公務員が犯罪を現認したときは、刑事告発をしなければならない。 刑事訴訟法第239条2に「官吏又は公吏は、その職務を行うことにより犯罪があると思料するときは、告発をしなければならない」という条文があるが、殆ど忘れ去られている。 公務員が、職務に関連して、贈収賄とか様々な犯罪を現認したら、刑事訴訟法からは告発する義務があるが、実際には、見て見ぬ振りして犯罪を放任してしまうのである。 刑事訴訟法のこの規定は、「職務に関して」という要件をつけているが、私は、この要件をはずして憲法に追加することにより、実用化したい。公務員は全体の奉仕者であり、犯罪を防止する義務がある。単に警察官のみの職責ではない。従って、職場で、あらゆる犯罪を現認したとき、告発義務を負う。汚職から一般刑事犯まで種類を問わない。又職場外でも、現認したときは、たとえ電車内の痴漢であっても、告発義務を負う。 告発義務を不履行したときは、懲戒処分の対象とする。 国民の2割が公務員である現在、公務員に告発義務を課すれば、犯罪抑止効果は大きい。 |
E法律が定める公務員及び公金の援助を受けている団体の職員は、資産を公開する義務がある。 現在、大臣・国会議員について資産公開が義務化されているが、憲法に明記したい。公開対象の公務員の範囲は、法律で定めることにするが、高級公務員まで対象を広げるべきである。 又、公金の援助を受けている民間団体の幹部職員についても、同様に資産公開対象としたい。私学助成金を受けている大学の幹部職員等である。公金無駄使い、公金私的着服の風潮がある現状、資産公開制度は、有効に作用すると考えている。 |
F公務員の労働条件は、法律で定める。公務員の労働条件に関する争議権は、禁止される。 公務員は労働者であり、労働三権を有するのは当然であるが、公務員の雇用主は国民であり、国会が労働条件を法律で定めるのであるから、法律で定めた労働条件に対する争議権を認めれば、国民主権、国会中心主義に違反することになる。従って、この分野に関して、公務員の争議権を否認する。 |
余 談 15条・・・・公的にも私的にも責任を問われない、この表現方法は稀であることに気づかれましたか。 国王からの侘び証文が憲法であったころは、憲法は国と国民との関係のみを規定しました。言論の自由とは、国が国民の言論の自由を侵してはいけない、との意味であり、国民相互間の意味ではなく、一人の国民が他の国民の思想が嫌いだから付き合わないとか、差別するとか、解雇するとかは、憲法上いいか、悪いか、を言及していない、要するに、自由、ということでした。 しかし、国王が滅亡し、国民が建国に当たり、国民相互の契約書としての憲法が普遍化すると、憲法の定めは、国家と国民との間だけではなく、国民相互間を規律するものとなりました。選挙である政党へ投票したことを理由にして、国民の私的関係、たとえば雇用関係で解雇するとか、差別することが禁止されることになったのです。 公的にも私的にも責任を問われない、との規定は、第15条だけであり、例外規定である、との考えもありますが、私は、既に普遍化したと認識していますから、例外規定ではなく、例示規定と考えます。 従って、思想の自由、宗教の自由、その他一切憲法が規定する国民の自由は、国家は当然として、国民全員が尊重すべき権利として、認められるべきであり、国民が私的にも侵害し得ない、即ち思想や宗教で解雇すれば、解雇自体が憲法違反と評価されることとなります。 (これまでの憲法解釈の多数説は、間接適用説と呼ばれ、憲法の自由規定は、民法第90条公序良俗規定を仲立ちにして私人間に間接適用され、前記の解雇は、憲法違反とは言わず、民法第90条公序良俗規定違反で無効と説明していました。私は、直接適用説に立ちます。) |
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